春はもうそこまで来ている

木に春で椿(つばき)。魚に春は鰆(さわら)。今が旬の魚で漁獲量も多く、身が引き締まり脂ものっておいしい。
物の本によると、「サ」は「狭い」に通じ、「ハラ」は腹。腹が狭い魚という意味。地元では小型のものを「サゴシ(狭腰)」と呼んでいる。歯が鋭く、大きいものは1メートルを超す。サメなどと同様、歯が鋭くスマートな魚類は一般にどん欲みたいだ。
新鮮なものは刺身にしても美味だが、焼き魚のほうが好評だ。私も焼き魚や味噌漬けにしたものが好きだ。
寒波に襲われた日本列島。北国では今なお、例年ない大雪に見舞われているが、西の果ての五島では春の花が咲き誇り、春の魚も黒潮に乗ってやって来た。間違いなく、春はそこまで来ている。
毎日新聞(みんなの広場 岩永 章)より転載