開眼

 若かりしころ、70歳と聞けば大年寄りに見えたが、自分がその年になってみると、ちっともそうとは思わない。
 先日、その70歳の古希の記念にと、小学校の同窓会が開かれた。久々にあった同期のものは誰もみな立派に老いていた。ただ威勢だけはすさまじく、宴会がすんでもほとんど全員が深夜まで酒類をどっさり持ち込んでの2次会。誰かが女性に「夜ばいに行くぞ」と物騒なたんかを切ると「元気はあるの。あるならどうぞ」大爆笑。そのとき私は開眼した。つまり、人間という生き物は体力は衰えても口先だけは反比例してますます達者になるのだと。毎日新聞 はがき随筆より転載。






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