テスト

tontyan2006-01-14

写真を入れてみたが、大きさを変えるのが分からない。次週の教室で教えてください。

毎日新聞余禄より

 江戸時代の雪国の暮らしを記した名著で、小欄もたびたび引用させてもらっている。「北越雪譜」には「雪頽」にあって奇跡的に助かった和尚の話がある。70余という老齢で崩れた雪にはねとばされたが、傷一つなかった。直前に写経をしていた功徳なのだ。
だが、そんなホッとする話だけではない。すぐその前には雪頽の犠牲者の無残な遺体の話がある。また筆者の鈴木牧之は、雪頽とは「似て非なるもの」として「ほうら」という現象の怖さを書いている。雪頽と違って前触れがないのだという。
雪崩には雪解けで積雪が根こそぎ崩落する。「全層雪崩」と、古い積雪の上に降った新雪が滑り落ちる「表層雪崩」があると聞く。「北越雪譜」の「雪頽」は全層雪崩、「ほうら」は表層雪崩らしい。雪になじみの薄い地方の住人にはピンと来ないが、はっきりと区別したのが雪国の知恵だ。
積雪がまとまって落ちてくる全層雪崩には雪面の亀裂などの前兆があるという。いきなり高速で襲ってくるのが表層雪崩だ。1918年1月9日に新潟県三俣で28戸をのみ込み、死者158人という日本最悪の雪崩被害を出したのは表層雪崩だった。
ようやく寒さが緩んだと思えば、大雪に見まわれた地方では雪崩の危険が高まっているという。太平洋岸には春先の陽気をもたらしそうな南からの暖気が、雪国では全層雪崩を引き起こすおそれがあるのだ。そればかりか寒気が戻る来週は、今度は表層雪崩への警戒が必要になってくる。
暖かくても冷えても雪の脅威か逃れられないとは何ということだろう。すでに大雪による死者は80人を超えた。その多くはお年寄りだ。もう一人として犠牲者を増やさぬよう、どうか先人の知恵も、最先端の技術も総動員してほしい。